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記事 : 黒留袖に合わせる袋帯は?袋帯の格やコーディネートポイントを紹介

丸帯

黒留袖に合わせる袋帯は?袋帯の格やコーディネートポイントを紹介

黒留袖に合わせる袋帯は?

一生のうちに数回しか着る機会のない黒留袖。着る機会が少ないからこそ黒留袖のコーディネートは大切にしたいですよね。

ひとえに袋帯といっても、実は礼装用の袋帯からオシャレ用の袋帯まで幅広くあります。

今回は、黒留袖に合う袋帯のコーディネートを中心に、帯の格や織りの種類などについても紹介しますので、袋帯をお探しの方は是非ご参考ください。

【目次】

帯の種類と格について

帯の種類と格について

まずは、帯の種類について簡単におさえておきましょう。

帯の種類は大きく分けて4種類。上から格の高い順に並んでいます。

丸帯 礼装用
袋帯 礼装用
名古屋帯 オシャレ着用
半幅帯 普段着用

次の項目では、丸帯、袋帯、名古屋帯、半幅帯についてみていきましょう。

最も格の高い帯は「丸帯(まるおび)」

丸帯
婚礼衣装や舞妓さんが使うのが丸帯

戦前までは最も格の高い「第一礼装」用の帯として活躍していた丸帯ですが、戦後、袋帯が出回ることで次第に廃れて行き、現在では殆ど生産されていません。

六通などの見える部分のみに柄が入った袋帯などとは違い、1枚の大きく織られた錦を二つ折りにし、袋状に仕立てるので両面に柄が入ります。

分厚くて重たくて結びにくいという特徴はありますが、その豪華さは帯好きなら目を見張る品です。

現在では、婚礼衣装などの他、舞妓さんなどが丸帯を使います。

現代の礼装用スタンダード「袋帯」

礼装用の袋帯
礼装用の錦織りの袋帯

「袋帯」は、一般的に使用される帯の中で最も格の高い帯です。

同じ袋帯でも格により用途にちがいがあるため、後ほどくわしく解説します。

礼装用の袋帯は主に「錦織(にしきおり)」や「唐織(からおり)」といった織りの帯を使います。

幅は約31cm、長さは420cm~440cm。二重太鼓ができる長さに仕立てられています。年代物の袋帯などは400cmぐらいのものも沢山あるので少し注意が必要です。

帯の長さの基準は難しく、420cm以上あれば現代日本人女性が二重太鼓を作れる基準として覚えておいてください。もちろん個人差ありです。

金銀糸が使われた織りの袋帯は格が高いため、留袖、訪問着、色無地などの礼装時の着物に。

染めや色糸のみで金銀の少ない袋帯はおしゃれ着用として、訪問着、色無地、お召し、小紋などのお出かけ着に合わせます。

おしゃれを楽しむ「名古屋帯」

名古屋帯
紬地の街着用名古屋帯

袋帯を簡略化した「名古屋帯」は、袋帯の次に格の高い帯。素材と柄により気軽なカジュアルシーンから、少しかしこまったセミフォーマルシーンまで幅広くしめられる用途の広い帯です。

サイズは幅31cm、長さ350cm前後で、一重太鼓で着付けます。

塩瀬(しおぜ)や縮緬(ちりめん)などの染め名古屋帯は小紋や紬などのおしゃれ着に、名古屋帯でも錦織や唐織などの格調高い織りの名古屋帯は、訪問着や色無地にもしめられます。

普段着として使う「半幅帯」

半幅帯
本場筑前博多織献上柄の半幅帯

「半幅帯」は最も気楽でカジュアルな立ち位置です。あくまで普段着用の帯のため、気軽なお出かけの際に着用します。

単衣仕立ての半幅帯は浴衣などに合わせます。

幅は約16cm、長さ約330cm前後で。袋帯や名古屋帯の半分の幅の帯です。

浴衣のときにお馴染みの正絹・博多織(はかたおり)の半幅帯をはじめ、木綿や麻、化繊など様々な素材があります。紬や木綿、ウールなどの街着の着物に合わせても良いですね。

袋帯には「礼装用」と「おしゃれ用」の2種類がある

袋帯

最も格の高い帯として紹介した袋帯ですが、フォーマル向きの「礼装用」とおしゃれ着用の「しゃれ袋帯」の2種類にわかれます。

着用シーンにより選ぶ帯を変える必要があるので、注意が必要です。

金銀糸を使用した織りの豪華な袋帯は「礼装用」

金銀糸を使用した織りの豪華な袋帯は「礼装用」
金銀糸に引箔を合わせた袋帯

「礼装用袋帯」は古典柄の格調高い文様を織りで表現した袋帯です。金銀糸が使われた豪華なデザインが多いのも特徴のひとつ。

基本的に帯は「織り」のほうが「染め」の帯よりも格が高いとされています。したがって、留袖や訪問着をフォーマルな場面で着る際には「織りの袋帯」を合わせるのが基本です

唐織の袋帯
刺繍のような立体感のある唐織

織り方には佐賀錦(さがにしき)や唐織(からおり)、つづれ織りなどさまざまな種類があります。

綴れ織の袋帯
西陣の爪掻本綴織の袋帯

礼装用袋帯の見分け方のポイントは、金・銀を基調とした絢爛豪華な印象の袋帯であること。そしておめでたい柄を象徴する吉祥文様が描かれています。

黒留袖には子孫繁栄などを表現する「扇子」や「唐草」、幸福を招くと言われている「花喰い鳥」、長寿を象徴するような「鶴・亀」、正倉院から古来より受け継がれてきた「正倉院文様」など様々な柄があります。

彩り豊かで金銀の糸や箔を使用した重厚感のある袋帯は、礼装用の格が高い袋帯と見てまず間違いないでしょう。

金銀糸が少なく柄が控えめなのが「しゃれ袋帯」

しゃれ袋帯
紬地の名物裂袋帯

一方で「しゃれ袋帯」は、金銀の少ない控えめな印象の袋帯をさします。

同じ袋帯の形状でありながら、礼装用の袋帯とは雰囲気と着用シーンが違います。

古典柄や吉祥文様が描かれておらず、あか抜けた柄のものや名物裂とよばれるデザインのものが多くあります。

金通しふくれ織の袋帯
金通しふくれ織の袋帯

見分け方のポイントは、金糸銀糸がメインで使われていない大人しい印象の袋帯であること

ほかにも生地が紬地の袋帯などはしゃれ袋帯なので、フォーマルな席ではなくおしゃれを楽しむお出かけシーンで着用しましょう。

黒留袖に合う袋帯のポイント

黒留袖に合う袋帯のコーディネートポイント

既婚女性にとって一番の礼装である「黒留袖」。

結婚式や披露宴で新郎新婦の母親や近しい親戚、仲人夫人が着用する黒留袖には、どんな帯を合わせましょう?

やはり袋帯のなかでも最も格の高い「礼装用袋帯」を選ぶのがよいでしょう。

ことわざにも”帯は錦(にしき)を巻け”とあるように、帯は着物姿の要。特に黒地部分の多い黒留袖には、豪華絢爛な袋帯をしめることで着姿が華やぎます。

格調高いデザインの織りの袋帯をあわせ、婚礼の場にふさわしい品格あるコーディネートでのぞみましょう。

ここでは黒留袖に合わせる袋帯とコーディネートのポイントを解説します。

金銀糸が使ってある

礼装用の袋帯
金銀糸が使われた礼装用の袋帯

金銀糸が使われた袋帯は、豪華な刺繍や織り柄で飾られています。

金銀糸は光沢があり、伝統的な文様や季節の模様を引き立てるのに適しており、格式高い印象を与えます。

こういった理由から黒留袖には格の高い金銀糸の袋帯を合わせます。

おめでたい吉祥文様が入っている

花車
幸運を招く花車柄

黒留袖を着る機会の代表と言っても良いのが結婚式と披露宴。

こういったシーンでは黒留袖を着るのは主催者側になるので、お客様を招くという立場から縁起の良い吉祥文様の入った袋帯を合わせます。

蜀江に宝相華
蜀江に宝相華

古代中国の「蜀」の国にルーツを持つ蜀江文様は、日本では能装束や茶器の仕覆にも多く使われており、格式の高い柄として扱われてきました。

その蜀江紋の中に幻想的な美しさを表現する「宝相華」が描かれており、非常に格式の高い至上の美しさを表現しています。

流水に華扇
流水に華扇

苦難や災難を流し去ることを意味する「流水」に、子孫繁栄などを意味する末広がりの「扇」、そして美しい様々な花が描かれています

特に藤の花は「不死」にかけて、長寿を意味するとても縁起の良い柄として扱われています。

藤の花は「辻が花」にもよく使われており、吉祥文様としてはかなりメジャーな存在です。

このように吉祥文様の意味を勉強すると、袋帯を選ぶひとつの楽しみが増えます。

黒留袖の絵羽の色味に合わせる

袋帯も様々な種類がありますが、黒留袖にも様々な柄があります。

一般的な黒留袖のコーディネートですが、絵羽の色味に近しい袋帯を選びます。

金や銀でも濃いめの色目からクリーム色に見えるような淡い色目まで様々です。

なので、濃いめの絵羽であれば、濃いめの袋帯、淡い目の絵羽であれば淡い目の袋帯とった風に、絵羽に合わせるとしっくりきます。

まとめ

袋帯には「礼装用袋帯」と「しゃれ袋帯」の2種類があり、TPOにより使い分けるのがポイントです。

フォーマルな着物には金銀糸を使用した袋帯で格調高く、おしゃれな着こなしを楽しむ場では織りや染めで意匠を楽しむ袋帯でコーディネートを楽しみましょう。

伝統的な技法で作られた袋帯は、着物姿における装いの顔。選ぶ帯次第で着物の格をぐっと上げることができます。

金銀糸の使い方や柄の雰囲気から袋帯の「格」を見分け、着用シーンにばっちり合う袋帯を選びたいですね。