着物の臭いは取れる?原因別の対処法や臭いがつかない方法を紹介!~着物ケアシリーズ3~
久しぶり出した着物に変な臭いがついている!という経験がある人も多いかもしれません。
大切にしまっておいたはずなのに、着物に臭いがついてしまったらショックですよね。
多くの場合、臭いの原因はカビです。早い段階であれば、着物の臭いは自分で取ることができます。
今回は、自分でできる着物の臭いの取り方をまとめました。カビ以外の臭いの原因や、臭いのつかない保存法についても紹介します。
着物についたカビの臭いを取るには
臭いの原因がカビであれば、まずはカビを取り除くことが重要です。
黄色や茶色になったカビは強く根を張っているので、専門の業者にお願いしたほうが安全。
いっぽうで、白いふわふわした初期のカビは自宅のお手入れで取り除くことができます。
ここでは、初期の白カビの対処法について見ていきましょう。
① カビの状態を確認する
カビが見つかったら、まずはその範囲や場所を良く確かめます。
着物の上に白く点在するカビは、まだ繊維の奥までは根を張っていませんので、できるだけ、この段階のうちに取り除きます。
そのためには、まずはこまめに着物の状態を確認することが必要です。
あまり着ない着物でもしまったままにせず、半年に1度は虫干ししてください。
カビがまだ初期の段階で、自分でも落とせそうな範囲であれば、さっそくカビの除去に取り掛かりましょう。
② カビを落とす
カビを落とすにはまず、身支度を整えます。
カビ菌を吸い込むと、健康を害する恐れがあるので、ゴーグルや手袋、マスクを装着し、カビ菌を吸い込まないように注意します。
またカビ菌が広がるのを防ぐため、作業は直射日光の当たらない屋外(ヤケを防ぐため)で行いましょう。
良く晴れた日を選んで着物ハンガーに着物を干し、カビのついた箇所を布で優しくなでるようにして表面のカビを拭います。
裏側は軽く叩き、カビを落としましょう。
③ 陰干しする
表面のカビを落としたら、着物を屋内にしまい、風通しのよいところで陰干ししてください。
風を通すことで臭いを飛ばし、カビの原因になる湿気も取り除きます。
このとき、紫外線を発する蛍光灯の光や日光には注意が必要です。強い光があたると、着物が日焼けしてしまいます。(※紫外線を発しないLEDなら大丈夫です)
臭いが強い時には、夜間、軒下に吊るしておくのもおすすめで、着物が空気中のわずかな湿気を吸い、それを吐き出すことで、臭いの元も飛びます。
陰干しは、臭いが取れるまで繰り返しましょう。
④ 扇風機やドライヤーを使う
陰干ししても臭いが取れないときには、扇風機やドライヤーを使う方法もあります。
特に湿度の高い季節には効果的ですが、風が強すぎると着物を傷めます。
着物の様子を見ながら、丁寧に、少しずつ行うのがコツです。
いずれも着物はハンガーに干し、表からも裏からも風があたるようにときどき位置を変えましょう。
風が強く当たりすぎないよう、適度に距離を保つことも大切です。
なおドライヤーを使う場合には、温風は避け、冷風の設定にしてください。
臭いのつかない保管方法とは?
着物に臭いがつくのは、保管方法に問題があるのかもしれません。
着物のカビがきれいになったら、きちんとしまえているかどうか、もう一度確認してみましょう。
着物に臭いがつきにくい保管方法について、まとめました。
新しい「たとう紙」でしまう
着物を保管するときにはたとう紙に包みますが、これも半年に1度は新しいものと取り換えましょう。
和紙でできたたとう紙には除湿作用がありますが、そのままにしておくと吸い込んだ湿気が着物に移ってしまいます。
乾いたたとう紙に定期的にとり替えることで、着物をきれいに保管することができるのです。
お茶の葉を使う
昔から、緑茶の葉(カテキン)は臭い取りに効果があると言われています。
着物を保管するときにもお茶の葉を使うと、臭いの発生を防ぐことができます。
お茶の葉を使った臭い取りの作り方は、以下のとおりです。
- フライパンでお茶の葉を炒る
- お茶の葉が茶色くなったら火を止めて荒熱を取ってから半紙に包む
- 着物に間にはさむ
お茶の葉が着物に直接触れると、色移りの原因になるので、お茶は必ず紙に包み、はみ出さないようにして使ってください。
防虫剤は無香料のものを
タンスや押し入れで使う防虫剤は、着物に臭いが移ることがあります。
特に2種類以上を併用すると、化学反応を起こしてガスが発生し、臭いだけでなくシミの原因になることも。
防虫剤は必ず1種類のみを使用し、臭いのない、無香料のものを選びましょう。
ウコン染めや桐素材のアイテムも防虫対策に効果を発揮します。
洋服と同じ場所に保管している場合など、防虫剤の化学反応が気になるときにこうした自然素材の防虫アイテムを試してみてくださいね。
着物に臭いを付けないために
保管時にも、着物に臭いがついてしまうことがあります。
ここではカビ以外にも気つけたい、着物に臭いがつく原因について見ていきましょう。
食べ物のシミに注意!
食事やお酒の席では、意外と臭いが移りやすいものです。
肉や魚を焼いた臭いや香辛料の香りは、多くの場合、陰干ししておくと落ちます。
ただし、着物にシミがついている場合はなるべく早く洗いに出すのが鉄則です。
その際は、汚れた場所と原因を一緒に伝えましょう。
タバコの臭いに注意!
タバコの煙も、着物に臭いを遺します。
特に絹は臭いを吸いますので、着物を着ているときはタバコを吸わないほうが無難です。
喫煙者と同席することがわかっている場合は、木綿や麻などの自宅で洗濯できる素材の着物を選ぶなどの対策を取りましょう。
スプレーやアルコールは避ける
臭いを取るアイテムには、スプレータイプのものも市販されていますが、部屋の防臭や洋服には便利ですが、着物に使うのはNGです。
スプレータイプの消臭剤は、水分を多く含んでおり、正絹の着物にかかると、縮んだり、輪ジミの原因にもなります。
また、アルコール類も変色や色褪せの要因となることがあります。
スプレータイプの消臭剤は、着物に触れないように使いましょう。
香水を使うときは十分注意して
着物を着て香水を使うときは、注意が必要です。
香水の主成分はアルコールと蒸留水が多く、どちらも着物を傷めます。
また、香水に含まれる化学物質が染料と反応し、変色することもあります。
香水は直接着物に触れないようにし、普段より控えめに使うことを心がけてください。
また、着物を保管するときには香水や化粧品と一緒にしまわないほうが安心です。
瓶や容器に香水や化粧品がついていると、着物に移ってしまうかも。
臭い移りの原因にもなりますので、着物と香水などは別々に保管しましょう。
臭いが取れないときは専門業者へ
カビを取ったり、陰干ししたりといった臭い取りは飽くまで日頃のお手入れの範囲です。
ひどく汚れた場合や強い匂いがする時には、専門の業者に持ち込みましょう。
自分で処理しようとすると、かえって着物を傷めてしまいます。
状態をよく確かめ、お手入れで取れる臭いかどうかを見極めましょう。
まとめ
カビや防虫剤以外にも、着物の臭いにはさまざまな原因があります。
その多くは、シミなどのほかのトラブルも引き起こすもの。
着物の臭いに気がついたら、ほかに痛んでいるところがないか、着物全体をよく確認してみてください。
手入れをし、必要であれば業者に持ち込むことで、着物の寿命は延びます。
リサイクルやいただきもの、代々受け継がれてきたものなど、歴史を刻んだ着物はトラブルも抱えやすい状態になっています。
優しく、大切にお手入れをしてあげてくださいね。