記事 : リサイクル着物の選び方~3つのポイント~
リサイクル着物の選び方~3つのポイント~
着物は母が着たものを娘が継ぎ、またその娘に譲ることができる、息の長い衣類です。
世代を越えて受け継がれる着物の伝統は、現代はリサイクル着物として定着しています。
比較的安価に購入できるのがリサイクル着物のメリットですが、選び方がわからないとお困りの方も多いのではないでしょうか。
時代を重ねて受け継がれるリサイクル着物には、仕立てたばかりの着物とは違う特徴があります。
今回は、リサイクル着物を選ぶときに必ず確認してほしい3つのポイントを紹介します。
目次
リサイクル着物の選び方のポイント
「リサイクル着物」と一口に言っても、その年代はさまざまです。
特にアンティーク着物と呼ばれる戦前の着物は、色柄が鮮やかで特徴的なものが多く、人気を集めています。
しかし古い時代に愛されたものは、現代のものとは勝手が違うことも多いものです。
リサイクル着物を楽しむために、確認してほしいポイントをまとめました。
リサイクル着物の選び方 その1 ~ サイズを確認する
素敵なリサイクル着物を見つけたら、まず確認してほしいのはサイズです。
昭和期頃までの時代を生きた女性は、一般的に現代の女性より背丈が低く、手足の長さも違います。
彼女たちの体にあわせて作られたアンティーク着物は、現代の女性には小さいものが多いのも特徴です。
着物のサイズは「身幅」「身丈」「裄丈」で表されます。詳しくはこちらの記事も参照してください。
気に入った着物のサイズが合わない場合も、ある程度は着付けでカバーすることができます。
特に身丈が短い場合は、おはしょりの出し方で調整できることがあります。
逆に裄丈が短いと、見た目にいかにも「小さい」という印象を与えます。
リサイクル着物のサイズのうち、重視する順番は以下のとおりです。
① 裄丈(ゆきたけ)
首の付け根から手首までの長さです。
多少短い程度なら、半襟を多く出したり、所作を工夫したりすることで着こなすこともできます。
また着物の着姿は、袖がたっぷりしているほうが優雅であるとされます。
普段のお出かけなら少し短め、訪問着など格の高い着物では長めの裄丈を選ぶのがおすすめです。
② 身幅(みはば)
体の胴回りの長さのことです。
ヒップ周りの幅を基準にします。
着物は、一枚の布で体を覆うようにして着る衣服です。
身幅が大きすぎると布が余って足にまとわりつき、短すぎるとはだけやすくなります。
身幅が極端にあわないと、体の脇の縫い目が大きくずれてしまいます。
多少短い程度であれば、着付けのときに足を前後に重ねるようにして体にぴったり巻き付けるときれいに着られます。
③ 身丈(みたけ)
着物の縦の長さのことです。
身長と同じくらいが最適と言われています。
身丈は多少サイズが違っても、融通の利きやすい部分です。
腰ひもの位置を加減しておはしょりを調整すれば、見た目にはわかりません。
前後5cm程度の違いなら、着付けに慣れている人はそれほど気にしなくても良いでしょう。
リサイクル着物の選び方 その2 ~ 生地や糸の強さを見る
アンティークに限らず、リサイクル着物では布や糸が弱っていることがあります。
特にヒップ周りはよく確認しましょう。
こすれて薄くなっている場合があります。
また未使用のリサイクル着物でも、長く保管されていると糸が弱ってきます。
どうしても欲しいリサイクル着物が傷んでいるときは、糸だけなら、上から重ねて縫うことで補強することが可能です。
しかし布が弱っている場合は直すのが難しいので、専門の業者に相談してみましょう。
リサイクル着物の選び方 その3 ~ 汚れの具合を確かめる
未使用品でない限り、リサイクル着物はすでに誰かが袖を通したものです。
新品のようにぴかぴかではない、と思っていたほうが良いでしょう。
特に汚れやすいのは胴裏や襟元、袖口です。
特に襟元は皮脂やファンデーションなどの汚れがつきやすく、手入れをしてもきれいにならないことがあります。
どの程度の汚れまで許容できるかは、個人差があります。実際に自分の目で、身にまとうことに抵抗がないかどうか確認しましょう。
ネットショッピングの場合は、店舗に問い合わせて、気になる箇所の状態を教えてもらうと良いですよ。
着られないリサイクル着物は「仕立て直し」しよう
サイズも状態も希望通りではないけれど、「どうしてもこれが欲しい」という着物に出会ったときには「仕立て直し」を検討しましょう。
仕立て直しとは、いまある着物をほどいて別のものに作り替えることです。
汚れているのが一部分だけなら、羽織や襦袢に仕立て直せば、きれいな部分だけを残せるかもしれません。
ほかの布を足して、帯に仕立て直すこともできます。
また、着物には後からサイズを変更できるように生地が縫い込んである場合があります。
この生地を使ってサイズを大きくすることを、「幅出し」と言います。
いずれも和裁の技術が必要なので、まずは業者に相談してください。
リサイクル着物の選び方 ~ まとめ
リサイクル着物は、サイズや状態が理想的でないこともあります。
しかしそのなかから自分の好きな着物を選び出し、工夫を重ねて着こなすのもリサイクル着物の楽しみ方のひとつです。
まずは購入時によく確認し、仕立て直しや幅出しも検討しながら、すてきなリサイクル着物との出会いを楽しんでくださいね。